【日野市】人と野菜と共に365日。地域の力と笑顔が集まる場所「七ツ塚ファーマーズセンター」が12周年!
農と暮らしをつなぐ「七ツ塚ファーマーズセンター」が2024年10月に12周年を迎えました。多目的室や調理室は市民の様々な活動・交流の場として利用され、美味しい日野産の新鮮野菜や、野菜たっぷりのランチが人気の「みのり處」もにぎわいスポット。お隣の七ツ塚公園からは子どもたちの元気な声が聞こえてきます。
この12周年の物語を語る上で、欠かせないのは「山本さん」の存在。今回は周年祭特集として、「七ツ塚ファーマーズセンター」のオープンから関わってきたNPO法人めぐみの代表山本さんにインタビューしました!
体調を崩し、会社員生活をリタイアした山本さんは、自然とのふれあいを求め日野市の主催する「農の学校」へ通ったそう。都市農業を続ける地域農家の援農に携わるうちに気付いたのは「農家の人は作るだけで手一杯で、売る場所や売るための仕組みがない。」という現実でした。
「自分に何かできることはないか?」その問いに応える形で、山本さんは地元の農家を支援するNPO法人めぐみを2010年に立ち上げました。ちょうどその頃、日野市内では東光寺上地区の農を活かしたまちづくりの一環として、ファーマーズセンターを設置するプランが進んでおり、山本さんに白羽の矢が立ったのです。
2012年10月のオープン以来「七ツ塚ファーマーズセンター」を運営しながら、山本さん達は農家と行政と市民が一体となる架け橋として、様々な取り組みを行ってきました。
12年が経った今も変わらず、山本さん達は毎日20〜30軒の農家を回り、野菜を買い取っているのだそう。
通常「道の駅」の直売所では、農家の方が自ら袋詰した野菜を運び、値付けし、売れ残ったものは回収しに行くというスタイルですが、山本さん達は農家の方々が少しでも生産に集中できるようにと、農家を回り野菜を買い取ります。そして、袋詰めや値付けもスタッフと共に行い、新鮮な地元野菜を毎朝店頭に並べています。
仮に野菜が売れ残ってしまっても、店舗内にあるレストランで美味しい「日替わり野菜ランチ」に生まれ変わります。毎日の食卓を彩るお母さん達が腕によりをかけつくるご飯は、野菜の新しい食べ方の発見にもつながっているのだとか。
10月24日(木)
みのり處 野菜ランチ・ナスのとろとろ炒め
・マカロニサラダ
・厚揚げとちくわの煮物
・大根葉ナムル
・さつまいもとゴボウの炊き込みご飯
・冬瓜スープ秋らしく爽やかなお天気です。さつまいもご飯にはゴボウを加えホクホクと美味しく炊きあがりました。街路樹も少し紅葉🍁 pic.twitter.com/Bsvsymqta9
— 七ツ塚ファーマーズセンター (@7tsuzuka_farms) October 24, 2024
「買い取り」という形をとってくれるこの仕組みもさることながら、土と触れ合い一生懸命育てた野菜をアイディアいっぱいに調理し、「美味しい」の言葉も一緒に届けられることはとても素晴らしいですよね!
山本さん達はひとりひとりの農家さんの話に耳を傾け、時には励ましの言葉をかけ、そして時には課題を解決するアイディアを形にします。
「B級品」と呼ばれる市場では価値が低いとされる野菜たちも、山本さんの手にかかるとまるで宝物のように扱われます。少し傷のついた野菜は市内のレストランや居酒屋のメニューに、割れた卵はパン屋さんの材料に、「高い」と言われたいちごは地元の老舗菓子店の逸品に。こうして「B級品」は価値ある存在へと生まれ変わるのです。
地域の農家の方々や自治体、そして市民もまた山本さんを信頼し、困ったときには真っ先に頼りたくなる存在となっています。
難しいことでも「よし、やってみよう。一緒にやろう。」と手を取り合い、山本さんと地域の農家が築き上げてきた信頼と絆が、今の七ツ塚ファーマーズセンターの温かさを支えているのでしょうか。
12周年イベントとして、2024年10月20日(日)には、七ツ塚ファーマーズセンターを利用している団体やグループの皆さんによる「みんなの発表会」が開催されたそう。発表する場があるというのは、普段この施設で練習を積んでいる方にとってはとても誇らしいことなのではないでしょうか。
観客席からも応援する家族や友人の温かい眼差しが絶えず、この場所が地域の「憩いの場」として根付いている様子がうかがえたといいます。
公園も隣接しているので、子どもたちのためにアイスのバラ売りを始めたところ、大好評なのだとか!おじいちゃんおばあちゃんが孫を連れて来ることもあるそうで、世代を超えた交流が生まれているんですね。
地場のものにとどまらず、様々な食材を販売しています。こちらは地震や洪水で大変な状況になっている能登や石川県の食材。「少しでも力になれば」と、ここでも自分たちにできることを考え、実践している姿を見ることができました。
そんな風に、人や自然を思い毎日元気に市内を走り回っている山本さんですが、実は週に3回、透析に通っているのだそう。
「たくさんの人と会って話をして、働いて、夜に一杯のお酒を楽しむ。そんな毎日が何よりの喜びなんです」。透析による水分制限があるため、日中は水分摂取を控え、夜の「待ちに待った一杯」が特別な時間なのだと語ってくれました。
12年間、七ツ塚ファーマーズセンターは”農”と共に地域に寄り添い、暮らしの一部として日常に溶け込んできました。
日野の豊かな自然と人を思いやる気持ちを次の世代へとつないでいく。「一人ひとりが手を携え、日野の恵みを大切に守り、未来の子どもたちに残していきたい」という山本さんの思いが、日野のまちづくりを支え、輝かせ続ける原動力となっているのかもしれません。
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